試してわかった、ティーバッグのいれ方5つのポイント

前回の投稿で、「ティーバッグのいれ方をあらためて試してみました」という前提のお話をしました。今回はその続きです。
最初の数回の実験については割愛して、前回お話しした下調べのあとに行った実験で感じたことを、順にお話ししていきますね。
テストした5つのポイント
- 湯が先orティーバッグが先
- カップを温めるor温めない
- 蓋をするor蓋をしない
- 蒸らし時間
- ティーバッグの引きあげ方
「湯が先orティーバッグが先」も含めて、この5つのポイントで紅茶の味の違いを確かめてみました。あれこれと試しているうちに、気づけば20回以上。新しく買ったティーバッグは、すっかりなくなってしまいました。
実験とテイスティングですので、比べたい項目以外の条件は、できるだけ揃えるようにしました。
- 汲みたての水の沸かしたての湯を使う。
- 湯量は150ml。デジタルスケールで計測。ただし、スピードを優先したときは目分量でできるだけ揃えました。また、「ティーバッグが先、湯が後」の写真を撮る際にはスケールに乗せたまま注ぐことができなかったため、その回だけは目分量です。
- 蒸らし時間は、商品の表示どおり、そこから30秒短く、30秒長く、そして目測で7分ほど経ったものも試しました。
湯が先orティーバッグが先
カップ用ティーバッグを飲む方には、【湯が先】をおすすめします。
日ごろリーフティーを飲む方は、どちらでも大丈夫です。お好きなほうをお選びください。
「湯が先orティーバッグが先」で紅茶の味が変わるのは確かです。ただ、その差はわずか。それでも、「湯が先はまろやか」「ティーバッグが先はしっかりめの味」という印象は、試すたびに感じました。まろやかな味わいが好きな方には湯が先がおすすめです。カップ用ティーバッグを飲む方には、あっさりとして飲みやすい紅茶を好む方が多い印象があるので、その意味でも湯が先が合うのではないかと思います。
ティーバッグに湯をかけると、ジャンピングしにくくなる?
ティーバッグに湯をかけると、ティーバッグがつぶれる、あるいは浮いてしまう、といった理由から「よくない」と言われることがあります。ジャンピングが起きにくくなるから、というのがその理由のようです。ただ、ジャンピングは湯の中の酸素によって起こるものなので、この点は少し補足しておきたいところです。
ティーバッグに湯をかけて一度つぶれても、ほとんどの場合そのあと膨らみます。上部に浮いたティーバッグの中をよく見ると、ちゃんとジャンピングしていますし、時間が経てば少し沈んでいきます。
湯をかけた直後だけで考えるのではなく、ゆっくり見てみることをおすすめします。
【封筒タイプティーバッグの例】
左:湯を先に入れ、ティーバッグが後
右:ティーバッグを先に入れ湯を後から注ぐ


【テトラタイプティーバッグの例】
左右共に:ティーバッグを先に入れ湯を後から注ぐ



ティーバッグ(茶葉)に直接湯をかけると、渋みが出やすい?
こちらについては、たしかにそういう面は“少しは”あるかなと感じました。ただ、渋みには蒸らし時間や引きあげ方の影響も大きいので、「湯が先かティーバッグが先か」「ティーバッグに湯をかける」だけで語るのは、少し難しいというのが実感です。
ティーバッグを先に入れる場合の、湯の注ぎ方
ティーバッグを先に入れる場合は、ティーバッグめがけて湯を注ぐのではなく、カップの縁に沿わせるように注ぐのがよいように思います。こうすることで、ティーバッグが浮いてしまうことや、茶葉に直接湯がかかって渋みが出てしまうことを防ぎやすくなります。湯を先に注ぐのとやや近い状態になります。
カップを温めるor温めない
【カップを温める】をおすすめします。
蓋をするor蓋をしない
【蓋をする】をおすすめします。
蒸らし時間
まずは、【商品にすすめられている時間どおり】にしてみることをおすすめします。そこから何度か飲んでみて、お好みで調整してください。
渋みが苦手な方も、蒸らし時間はあまり短くしすぎないほうがよいと思います。「蒸らし時間が短い=渋みが少ない」と思われがちですが、実はそうとも限らないからです。
蒸らしが短すぎると渋みを感じる
蒸らし時間が短すぎると、「渋みは出ているのに、旨味はあまり抽出されていない」ということが起こります。渋みは、旨味よりも先に出てくるものだからです。また、旨味(紅茶らしい味わい)が弱いことで、かえって渋みを強く感じてしまうこともあります。
渋みや濃さが気になる方は、蒸らし時間を短くするよりも、湯の量を少し増やすほうが、やさしい味になりやすいので、よかったら試してみてください。

ティーバッグの引きあげ方
蒸らし終えたティーバッグの中には、紅茶の旨味やエキスがたっぷり詰まっています。湯を先に注ぎ、ティーバッグを後からいれる方法、浅いティーカップほどそうなります。ティーバッグの中の旨味を外に出してあげないと、カップの中身はほとんどお湯のままです。
どうやって、どのくらい外に出すか。ここが、今回の実験でいちばん丁寧に見ていきたかったポイントです。


ティーバッグの引きあげ方4つの違い
- ティーバッグを静かに引きあげる
- ティーバッグを1〜2回揺らしてから引きあげる
- ティーバッグを4〜5回揺らしてから引きあげる
- ティーバッグを10回揺らしてから引きあげる
※1は、揺らさないよう、静かにゆっくり引きあげます。
※2・3は、上下または左右にゆっくり動かしてから、ゆっくり引きあげます。
※4は、勢いよく動かしたり、スプーンで強く混ぜたりしてから引きあげます。
1→4の順に、味は薄い→濃い、紅茶の旨味は少ない→多い、水色は浅い→濃い、という変化になります。
【2】がおすすめ(仮)
カップ用ティーバッグだけを飲む方には、1か2くらいがよいのではないかと思いました。あっさりしていて、飲みやすいからです。2をおすすめしたいのですが、1がよいと思う人もいるのかなぁと思いました。
私個人がいちばん好きなのは3です。茶葉の持ち味がしっかり引き出されていて、紅茶らしい味わいを感じられるからです。ただ、人によっては、渋い・濃いと感じるかもしれません。
4は、少し過剰な抽出になっています。味の濃さはよいのですが、渋みも出てきます。カップ用ティーバッグを飲む方には、おすすめしません。とはいえ、1や2よりも4のほうが好きという方も一定数いらっしゃると思います。想像しているほどひどい味ではありません。ちなみに私自身は、1よりは4のほうが好みです。





この4つ、飲み比べれば、ほとんどの方が違いに気づかれると思います。
実をいうと、1回目、2回目は、かなりはっきりとした差を感じました。「湯が先かティーバッグが先か」よりも差が大きく、「ここがティーバッグのいれ方のポイントかもしれない」と思ったほどです。
けれど、何度も試すうちに、少しずつ味の差を感じにくくなっていきました。試せば試すほど、「違いはあるけれど、微差だな」と感じるようになったのです。
結局のところ、ここもいちばんのポイントというわけではなく、どれか一つだけが重要というわけでもない、ということなのだと思います。
ティーバッグの中の旨味・エキスを引き出す
カレルチャペックさんは、ティーバッグのいれ方のポイントとして「ティーバッグをしぼる」ことをすすめていらっしゃいます。これは、ティーバッグの中の旨味やエキスをしっかり引き出しましょう、ということだと理解しています。
私は「しぼらないけれど、軽く混ぜる」というやり方をしています。考え方としては、カレルチャペックさんと同じ方向だと思います。ティーバッグの中の旨味やエキスを引き出したい、という点では変わりません。
「しぼると、えぐみや雑味が出てしまうのでは」と気になる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、質のよい茶葉であれば、その心配はほとんどいらない、というのが私の実感です。
少し譲って言うなら、日本のスーパーなどで一般的に手に入る紅茶であれば大丈夫です。あえて商品名を挙げると、リプトンのイエローラベルなら、まったく問題ありません。商品によっては、えぐみや雑味が出ることもあるかもしれませんし、やり過ぎはおすすめしませんが。

旨味が少ないと渋みが目立つ
紅茶が苦手な理由の一つが「渋み」です。渋みを出さないために「蒸らし時間を短くする」「ティーバッグを揺らさないで引き上げる」を考える方が多いのですが、これには注意が必要です。
紅茶の旨味を出さないと渋みが目立つからです。
紅茶の味の濃さが苦手な人は、それでよいのですが、渋みが気になる場合には逆効果になる恐れがあります。
今回の実験だと、蒸らし時間を短くした場合、また、ティーバッグの引きあげ方の1は思いのほか渋みが目立ちます。紅茶の味は薄く渋みは感じる。美味しい紅茶とは逆になっている避けたい状態です。
適度な蒸らし時間をおき茶葉の旨味を引き出す、ティーバッグの中に詰まった旨味をバッグの外に出すことにより、紅茶の味がしっかりとします。すると、紅茶の味(旨味)によって渋みが目立たなくなるです。それが美味しい紅茶です。
「適度に」加減の難しさはありますが、味を出すことを恐れないほうが、美味しい紅茶に近づくことになります。
紅茶の味の濃いのが苦手な人がいらっしゃいます。この方は、蒸らし時間は商品のおすすめ通りにする。ティーバッグは2~3回揺らし旨味を出す。これで、美味しく紅茶が抽出できています。この紅茶に湯を足して、紅茶の味を薄くするのはいかがでしょうか。または、多めの湯で抽出しても似たようなことになります。
5つのポイントまとめ
・湯が先orティーバッグが先 → 【湯が先】がおすすめ
・カップを温めるor温めない → 【カップを温める】がおすすめ
・蓋をするor蓋をしない → 【蓋をする】がおすすめ
・蒸らし時間 → 【商品に表示されている時間どおり】がおすすめ
・ティーバッグの引きあげ方 → 【2回くらい揺らしてから引きあげる】がおすすめ
「美味しい紅茶が飲みたい」と思うなら、どれか一つだけを気にすればよい、というものではなく、5つとも大切だと感じています。
イメージとしては減点法に近いかもしれません。一つ疎かになるごとにマイナスが積み重なるイメージです。
とはいえ、紅茶は本来、日々の暮らしの中で愉しむものです。テイスティングをするためのものではなく、ティータイムを愉しむためのもの。カップ用ティーバッグであれば、なおさらそうだと思います。
紅茶のいれ方は、ティーバッグでもリーフティーでも、神経質になって細かいところまで気にする必要はありません。”だいたい”合っていれば、それで大丈夫です。
今回のテイスティングにしても、真剣に飲み比べるから気が付くことが多いです。何度も試せば、その差は感じにくくなります。
もちろん、いれ方によって紅茶の味は変わりますし、ていねいにいれることは、とても素敵なことだと思います。けれど、いつも美味しく紅茶を飲めている方は、いれ方そのものにはあまりこだわっていないように感じます。こだわっていないというより、自然と身についているから、というのもあると思いますし、気にかけているポイントが少し違うのかもしれません。
お好きな茶葉さえ使っていれば、いれ方は、だいたい合っていれば大丈夫です。少しくらい違っても、心配はいりません。お好みの茶葉であれば、それだけで、ちゃんとお好みの味になるはずですから。
